鶴見中尉の愛

鶴見中尉の愛ってなに?

◎そもそも~鶴見中尉が語ったこと(23巻@新発田)~
長期間にわたって訓練を受けた兵士であっても、圧倒的多数は殺人に抵抗があり避けようとする。その抵抗を飛び越えさせるものは「愛」。戦友の期待を裏切りたくないと思う気持ちが殺人への壁を乗り越えさせる。ゆえに軍の指揮官である自分の課題は、どれだけ部下との愛を育み、汚れ仕事に従う兵士を作れるか、である。
⇒愛を育む目的は、
 建前
 ・指揮官として、敵国の兵士を殺せる兵士を育てる。
 本音
 ・自分の計画について来られる部下を育てる、さらに特に信頼できる部下を作る。
 建前と本音に多少の違いはあれどどちらも嘘ではなく、これらを叶えるために鶴見中尉は愛活(愛活動)を実践しているということになる。

◎愛4と愛活のスタイル
愛4(鯉登/月島/宇佐美/尾形、鶴見中尉の名セリフ「愛です✨」の背景にいる4人)それぞれと鶴見中尉の愛のカタチについて、以下のポイントに着目してみる。
①本人以外の目的はあるか
②罪悪感を乗り越えるための愛が必要か
③先に愛を差しだしたのはどちらか
【宇佐美】
①なし ただの農家の子。むしろ鶴見中尉は幼馴染の智春が欲しかったが、宇佐美に邪魔されてしまった。
②不要 一般的な倫理観はない。きっかけがあれば殺せる。
③宇佐美 何もしてないのに強烈に愛されていて戸惑う。
⇒愛理論的な愛を与える必要はない存在。ただし、愛を適切に受け止めないとどんなトラブルに発展するか分からない。テキトーに受け流すのではなく、しっかりと愛に応える鶴見中尉の懐の深さよ。愛活の特殊モデル。
【鯉登】
①あり そもそも父親が本命で音之進はおまけ。
②不要? 軍国エリートで頭で考えて人を殺せる(少なくとも本人はそれを目指しているはず)。
③鯉登 可哀想なので優しくしてあげたら惚れられた。
⇒愛理論的な愛を与える必要はない存在。でもお父上にはお世話になっているし、強くてかわいいし、たまにかまってあげる。鶴見と鯉登父の関係によっては音之進の人質度が変わるが、私は鶴見と鯉登父はある程度目的を共有していたと思っているので、音之進はシンプルにただのかわいい同僚なのでは?愛活というほどでもない?
【尾形】
①あり ただし、父親が先か百之助が先かはまだ分からない。
②必要 独特の拗らせ方をしているが、よりどころを求めている。
③不明 尾形に何か新しい驚きの要素でもない限り、出会いが幼少期でも入隊後でも鶴見から始まったと思われる。
⇒肉親殺しにも敵兵殺しにも罪悪感があるが自覚はなくよりどころを求めている。父親目当ての愛活から百之助への移行に失敗しこじれたのか、百之助本人との愛活から父親(と弟)によそ見してこじれたのか、どっちなんだろうね。特殊モデルと汎用モデルの融合?
【月島】
①なし 本人の魅力意外に何も持っていない。持っていないところが魅力のうちでもある。
②必要 比較的素朴な倫理観を持っている。感情ドリブンで行動するため特に愛が効果的。
③鶴見 寄り添い、与え、導く
⇒愛理論ど真ん中の存在。過去の経験や戦場での体験に寄り添い、お前は私にとって大事な存在だと伝えることで愛を育む。谷垣にも実践されており、他にも多くの兵士たちとこの方法で信頼関係を築いていると推察される。汎用モデル。しかし、月島はその中でも「死刑から救う」「外国語を教える」「本音(っぽいもの)を打ち明ける」「裏の計画に関わらせる」「遠征での判断を一任する」など、与え方も使い方もすさまじい。王道にして究極の愛活。

基本的には積極的に部下に寄り添い欲しい言葉を与えてあげる、そんな感じで絆を深めるのが愛活で、愛4は代表例ではなく例外的な存在じゃないかと思う。宇佐美鯉登(尾形)は愛活の性質が異質で、月島はその深さが異質なのでは?ようは、鶴見中尉は多くの部下に対しては大それた考えはなくシンプルに仕事を円滑に進めるため部下のことをよく知りたいし自分のことを良く思ってほしいだけなんだろう。みんなが自分を愛していれば、仲間同士の連帯や絆も期待できる。鶴見中尉えらいなー

◎今の鶴見中尉と今の部下の皆さん
丁寧に丁寧に愛活をしてきた鶴見中尉だが、今はどうだろうか。おそらく、汎用モデルの愛活は抜かりなくやっている(二階堂のお見舞いをしたり、登別温泉にも湯治中の仲間を見舞いに行っている)ため、モブ兵士くんたちの士気はそれなりだろう。でも、ちょっと例外の愛活対象のみなさんはどうだろうか・・・ってか月島はどうだろうか・・・からの、教会での「鶴見劇場」ですからね。鶴見中尉抜かりなくてえらいなー。一応あの演説で月島の愛を取り戻したように見える鶴見中尉、今後どうなるかな?まだあと一押し足りないように思う(いご草ちゃん問題が解決していないので)。もっとコミュニケーションとって!

◎継承
月島は鶴見中尉の愛活をガンガン浴び、また目撃してきたはずなので私としては愛活を継承してほしいが、彼はかなりコミュニケーションを省略するタイプだ。鯉登は一見月島に歩み寄っているように見えるが、話を最後まで細部まで聞かず、割と思い込みで思考停止するように見える。二人にも相手の話を聞いて寄り添い絆を深める鶴見中尉の愛活を実践してもらい、スッキリと鯉月していただければと思う。もっとコミュニケーションとって!

オチはない。月島はなぜ病んでしまうのか、という項も作ろうと思ったが長くなりそうので省略した。
鶴見中尉が幸せになれますように♡